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認知の歪み

こだわり行動は認知の歪みが原因です!

発達障害のお子さんの中には、こだわりが強いお子さんが多く認められています。

たとえば急に予定が変更されたらパニックになるとか。

失敗や間違いを極度に嫌がるとか。

特定のお友達以外とは会話もできないとか。

家のトイレ以外の外のトイレに入れないとか。

いろいろありますね。

これらのこだわり行動は、その原因の多くが、いわゆる『認知の歪み』が原因で起こっています。

今回は、この認知の歪みがどうして起きるのか、それによってどんな問題(こだわり)が起きるのかについて解説していきます。

認知の歪みとは?

私たちが外の環境や、相手の行動を認知するためには、視覚や聴覚などの感覚情報を、それぞれに対応した大脳皮質の領域で分析し、それらの情報を統合する必要があります。

その統合するためのネットワークが、大脳皮質の下にある、視床や大脳基底核、大脳辺縁系などの神経核で構成されている『皮質下ネットワーク』なのです。

この『皮質下ネットワーク』の中核的な働きをしているのが『認知-意思決定-行動出力パラレルループ』と呼ばれる仕組みです。

この皮質下ネットワークの働きの第一に、周囲の環境や、相手の行動の意味を認知する、『認知ループ』の働きがあります。

このループの働きが未発達になっている場合に、『認知の歪み』という現象が起きるのです。

この認知の歪みには、たとえば ① 白黒思考 ② フィルタリング ③ 特定のものを嫌悪する などの問題があります。

これらの認知の歪みの問題について、少し見ていきましょう。

白黒思考で失敗を怖がる子供

認知の歪みのひとつに『白黒思考』があります。

これは、物事を「はい」か「いいえ」か、「好き」か「嫌い」か、「成功」か「失敗」か、「味方」か「敵」か、「楽しい」か「辛い」かの2極でとらえて、中間のグレゾーンのない認知のタイプにおちいってしまっている状態です。

私たちの人生は、一般的には、成功でも失敗でもない、いわゆるグレーゾーンを、ふらふらと生きていくのが普通です。

でも『白黒思考』の認知の歪みのある子供は、このグレーゾーンを生きることができません。

なので成功できないと、それはすぐに失敗であると感じてしまいます。

また失敗にも、「ほんの些細な失敗」から「取り返しがつかない重大な失敗」まで、さまざまなレベルの失敗があります。

ですが『白黒思考』の場合には、すべての失敗を、重大な失敗と感じてしまうのです。

ですからこのタイプの子供たちは、ほんの些細なミスを指摘されただけで、大袈裟にショックを受けて、泣いたり喚いたりしてしまうのです。

また確実に成功できること以外は、失敗を恐れて挑戦できない、などの問題が起きる場合も多く認められています。

これは本人にとって、とても辛いことであり、苦しいことでもあります。

人生にグレーゾーンがなく、成功か失敗のどちらかしかない生き方は、とてつもなく「生きづらい」人生なのです。

お子さんが、感覚統合不全によって、原始系触覚が残存していたり、感覚過敏などが強い場合に、この認知の歪みによる『白黒思考』になりやすいと考えられています。

ですからお子さんに感覚統合不全が認められた場合には、できるだけ速やかに感覚統合のケアを開始する必要があるのです。

フィルタリングによる視野狭窄の問題

発達障害の子供の陥りやすい『認知の歪み』の問題のひとつに、「フィルタリング」があります。

これは周囲の環境を認知するときに、特定の対象のみを強く認知してしまい、その他の重要な事柄に注意が向かない状態の認知の歪みをいいます。

たとえばモルディブのリゾートに行って、青い海と白い砂浜を前にして、隅にあるゴミ箱ばかりが気になってしまい、海を楽しめないなどの状況になるケースです。

このタイプの認知の歪みでは、本来、向けるべき対象に注意が向けられずに、不必要な些細な問題点ばかりが気になってしまうものです。

そうなるとお子さんは、適切な対象を認知できずに、どうでも良い(本来は重要ではない)対象にばかり注意を取られてしまい、適切な意思決定ができなくなってしまうのです。

このタイプの認知の歪みの亜流には、興味の範囲の極端な狭さ、などのタイプがあります。

これは趣味や興味の範囲が、極端に狭く、お友達が提示した話題に対して、まったく興味が持てずに、自分の好きなことばかり話そうとする、などの問題点が挙げられます。

こうなると相手とのスムースなコミュニケーションも難しくなってしまいます。

キャラクター嫌悪とシチュエーション嫌悪

さらに認知の歪みで多いのが、キャラクター嫌悪やシュチュエーション嫌悪のタイプです。

まず『キャラクター嫌悪』ですが、これは特定の特徴をもつキャラクターを嫌ったり、怖がったりするケースです。

たとえば「アンパンマン」や「バイキンマン」などのキャラクターは大好きだけれども、お話の中でたまたま出てきたキャラクターが怖くて、その回のアニメを見られない、などのケースがあります。

実際に、普通にアニメを喜んで見ていた子供で、「どすこい寿司ずもう」のキャラクターを見ると、怖がって泣いてしまう子がいました。

私たちから見たら、とても愛嬌のある、可愛らしいキャラクターなのですが、本人にしてみると、とても恐怖を感じるキャラクターらしいのです。

この様に、キャラクター嫌悪は、私たちからすれば、「どうして?」と思うようなキャラクターに対して、拒否をしめします。

これの軽度なやつが、相手の見た目で、お友達を嫌ってしまうとか、見た目で食べ物の好き嫌いがあるなどのケースもあります。

また『シチュエーション嫌悪』は、たとえば「自宅のトイレには入れる」けれど、「デパートや駅のトイレには入れない」などのケースがあります。

またこの駅のトイレには入れるけれど、こちらの駅のトイレはダメだとかもありますね。

新しい鉄筋のホテルには泊まれるけれど、老舗の木造の歴史のある旅館には泊まれない、などの場合もあります。

これには、「こうこうだからダメなんだ」的な、はっきりとした理由がないため、本人にもどうしようもないのです。

この『シチュエーション嫌悪』が、学校の教室になってしまうと、その子は「不登校」になりやすくなります。

つまり「原因はわからないけれど、教室に入るとドキドキして気分が悪くなる」などの訴えで、不登校になるケースは、このシチュエーション嫌悪が原因であることが多いのです。

認知の歪みによる生きづらさに注目

『感覚統合不全』による、「原始系触覚の残存」や、「感覚過敏」、「感覚鈍麻」などが長期に改善されないでいると、この『認知の歪み』が起きやすくなると考えられています。

そしてこの『認知の歪み』の問題点は、本人の生きづらさにつながってしまうということです。

一般的な発達障害による多動傾向や、自閉的傾向は、はっきりとした「育てにくさ」があり、ご両親も真剣に向き合う傾向が強いのですが、『認知の歪み』による問題は、育てにくさではなく、あくまでも「本人の生きづらさ」がメインになります。

ですから幼少期には見過ごされて、年頃になってからの不登校や人間関係の問題が起きてから、親子で慌てているケースが、とても多く見受けられます。

この『認知の歪み』による問題は、発達障害の子育ての中で、よく見落とされがちな問題なのです。

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